年が明けて少し経った頃、
特別な出来事があったわけでもないのに、
胸の奥にじわっと広がる不安を感じることがあります。
強い不安ではない。
パニックになるほどでもない。
ただ、理由がはっきりしないまま
「なんとなく落ち着かない」
「このままでいいのか分からない」
そんな感覚が続く。
この年始特有の「静かな不安」を、
多くの人はあまり口にしません。
なぜなら、
正月は前向きであるべき
新しい年は明るく始めるべき
という空気が強いからです。
だからこの不安を感じると、
「縁起が悪い」
「考えすぎだ」
「気の持ちようだ」
と自分に言い聞かせてしまう。
でも実は、
年始に出てくるこの静かな不安は、
とても健全な反応です。
不安というと、
避けるべきもの
消すべきもの
ネガティブな感情
として扱われがちですが、
本来の不安は
「違和感を教えるセンサー」
のような役割を持っています。
年始というタイミングは、
無意識が一年分の流れを
一度フラットに見直す時期です。
忙しさや役割から少し離れ、
「今年もこのままでいいのか」
「去年の生き方は、自分に合っていたのか」
そうした問いが、
言葉になる前に
感覚として浮かび上がってきます。
それが、
年始に感じる
静かな不安の正体です。
この不安は、
「何かが間違っている」
という警告ではありません。
むしろ、
これまで見えなかった部分が、見える位置に上がってきている状態
です。
普段、私たちは
日常の忙しさの中で
多くの違和感を見ないようにしています。
・本当は疲れている
・本当は無理している
・本当は納得していない
それでも生活は回るし、
表面的には問題なく過ごせてしまう。
でも、年始の静かな時間は、
そうした感覚を誤魔化せなくします。
だから不安が出てくる。
特に、
これまで頑張ってきた人ほど、
この不安は出やすい。
ちゃんと働いてきた。
ちゃんと役割を果たしてきた。
周りから見れば問題ない。
それでも、
心のどこかで
「この先も同じでいいのだろうか」
という問いが生まれる。
それは弱さではありません。
変化を受け取れる状態に入った
というサインです。
ここで多くの人がやってしまうのが、
この不安を
すぐに「答え」で消そうとすることです。
・今年の目標を無理に決める
・前向きな言葉で塗りつぶす
・行動量を増やして考えないようにする
一時的には楽になりますが、
不安そのものは解消されません。
なぜなら、
この不安は
「行動が足りない」からではなく、
「方向がまだ定まっていない」
ことから生まれているからです。
年始の静かな不安は、
今すぐ解決するためのものではありません。
一度、立ち止まるために出てくる感覚
です。
この不安を感じているとき、
無意識はこう伝えています。
「少し、ちゃんと感じてほしい」
「急いで決めなくていい」
「今までと同じ選び方は、もう合わないかもしれない」
だから、
この時期に無理に答えを出そうとすると、
かえって迷いが深くなります。
静かな不安は、
動き出す合図ではなく、
整え直す合図です。
ここまできた人は、
もう勢いや気合だけで進む段階を
超えています。
だからこそ、
年始に出てくるこの不安を
「悪いもの」と決めつけなくていい。
今はまだ途中です。
答えが見えなくて当然です。
大切なのは、
この感覚を
消そうとせず、
否定せず、
ただ認めておくことです。
それだけで、
無意識の中では
次の準備が静かに進み始めます。
静かな不安を感じているとき、
多くの人は「早く安心したい」と思います。
でも、この不安は
安心に向かう直前にだけ現れる
とても繊細な感覚でもあります。
なぜなら、
これまで当たり前だった価値観や生き方が
少しずつ合わなくなっているからです。
今までなら
気合で乗り切れていたことが重く感じる。
以前は平気だった人間関係に疲れる。
昔は欲しかったものに、心が動かない。
こうした変化は、
表面では「不安」として感じられますが、
内側では更新作業が進んでいます。
年始の静かな不安は、
人生がズレ始めているサインではありません。
人生の設定が書き換わり始めているサイン
です。
ここで大切なのは、
この不安を「どうにかしよう」としないことです。
何かに結論を出そうとしなくていい。
将来を無理に決めなくていい。
「こうあるべき」に戻ろうとしなくていい。
むしろ、
この時期に必要なのは
不安を抱えたまま、
日常を静かに過ごすことです。
・朝起きて、淡々と一日を始める
・必要なことだけをこなす
・考えすぎそうになったら一度離れる
・情報を少し減らす
それだけで十分です。
静かな不安は、
注目しすぎると大きくなりますが、
無視するとこじれます。
一番いい距離感は、
「あるけど、追いかけない」
という状態です。
そうしているうちに、
ある瞬間から
少しずつ感覚が変わってきます。
急に元気になるわけでも、
不安がゼロになるわけでもない。
ただ、
「これなら無理しなくていいかも」
「これは、やらなくてもいいな」
そんな小さな気づきが増えていく。
それが、
不安が役目を終え始めた合図です。
年始に出てくる静かな不安は、
あなたを怖がらせるためにあるのではありません。
これから先、
どこで力を使い、
どこで力を抜くかを
選び直すために出てきます。
だから、
この不安を感じている人ほど、
これからの人生は
シンプルになります。
やらなくていいことが減り、
付き合わなくていいものが見えてきて、
本当に大事なものだけが残る。
結果的に、
以前よりも
迷いは少なくなります。
年始に静かな不安を感じている自分を、
否定しなくていい。
それは、
壊れている証拠ではなく、
整い始めている証拠です。
今はまだ言葉にならなくても、
今はまだ答えがなくても、
それで大丈夫です。
不安は、
「このままじゃダメだ」と伝えるためではなく、
「もう少し自分の感覚を信じていい」
と知らせるために現れています。
年始に出てくる静かな不安は、
悪いものではありません。
それは、
これからの人生を
軽くするための
最初のサインなのです。

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