引き寄せの法則や潜在意識に取り組んできた人ほど、ある段階で共通の感覚にぶつかることがある。
それは、「疲れ」だ。
最初はワクワクしていたはずなのに、
いつの間にか気を張り、
感情を監視し、
思考をチェックし続ける状態になる。
ポジティブでいなければならない。
ネガティブを感じてはいけない。
整っていない自分はダメだ。
こうした内側の圧が強くなればなるほど、
現実はなぜか動かなくなる。
この現象は、努力不足でも意識が低いからでもない。
むしろ真面目に取り組んできた人ほど、ここに引っかかる。
その理由を理解する鍵が、キバリオンにある。
キバリオンでは、世界は「原理」によって動いているとされる。
原理とは、誰かが操作するルールではなく、
意識しなくても常に働いている構造だ。
重力を信じていなくても、物は落ちる。
キバリオンの原理も、それと同じ性質を持っている。
ここで問題になるのは、
潜在意識が「操作できるもの」だと誤解されやすい点だ。
現代の潜在意識論では、
「書き換える」
「プログラムする」
「設定を変える」
といった言葉がよく使われる。
これらは分かりやすい一方で、
無意識に「今の自分は間違っている」という前提を生みやすい。
つまり、
変えなければならない自分
整えなければならない状態
今はまだ足りない現実
こうした前提の上で、引き寄せや潜在意識を使おうとすると、
内側では常にブレーキがかかる。
キバリオンの視点から見ると、
この時点ですでに原理とズレている。
なぜなら、原理は「今の状態」から照応するからだ。
今の自分を否定した状態で、
別の現実を引き寄せようとする。
これは、同時に二つの前提を持とうとする行為になる。
潜在意識は、言葉よりも前提に反応する。
「叶えたい」という言葉の裏に、
「まだ叶っていない自分はダメだ」という前提があれば、
そちらが優先される。
キバリオンで言う照応の原理は、
この構造を非常にシンプルに表している。
内側の状態は、そのまま外側に映る。
善悪の判断なしに、忠実に映る。
だからこそ、
引き寄せを頑張れば頑張るほど、
「頑張っている状態」が現実に反映され続ける。
疲れているなら、
疲れている前提が現実になる。
焦っているなら、
焦り続ける状況が整う。
ここで多くの人が、さらに努力を重ねてしまう。
もっと感情を整えようとし、
もっとポジティブでいようとする。
しかしこの方向性は、
キバリオンの極性の原理によって、さらに揺れを大きくする。
極性の原理では、
すべてのものは両極を持ち、
同じ一本の線上に存在するとされている。
ポジティブとネガティブ。
安心と不安。
満足と欠乏。
これらは対立しているように見えるが、
実際には同じ軸の位置違いだ。
ポジティブを強く意識するほど、
ネガティブも同時に意識に上がる。
不安を消そうとするほど、
不安という概念に注意が向き続ける。
結果として、心は常に振れ続ける。
引き寄せが疲れる最大の理由は、
この「振れ幅」を無意識に大きくしてしまう点にある。
安定しようとして、
逆に不安定さを強化してしまう。
キバリオンは、
極の移動を勧めていない。
「ネガティブをポジティブに変えなさい」とは言っていない。
それよりも、
その軸そのものから一段引いた視点を示している。
この視点に立つと、
感情は管理するものではなく、
通過するものになる。
不安が出ても、
「出てはいけないもの」ではなく、
「今、そういう振動があるだけ」と捉えられる。
この扱い方の違いが、
潜在意識に与える影響は非常に大きい。
ここまでが、
引き寄せが疲れてしまう構造の前半部分だ。
ここまでで見えてきたのは、引き寄せが疲れる原因が「ネガティブだから」でも「才能がないから」でもないということだ。
むしろ、原理を知らないまま、操作しようとしてしまうことが疲労を生んでいる。
キバリオンの極性の原理は、感情の扱い方を根本から変える視点を与えてくれる。
不安と安心、欠乏と充足は、同じ一本の線上にある。
どちらかを消そうとすれば、その軸に縛られ続ける。
だからキバリオンは、
「良い側へ移動しなさい」
とは言わない。
それよりも、
その軸を前提にしない位置に立つことを示している。
この視点に立つと、潜在意識へのアプローチは驚くほどシンプルになる。
何かを足す必要も、書き換える必要もない。
「今の状態をどう扱っているか」
それだけが、静かに前提を変えていく。
ここで重要になってくるのが、振動の原理だ。
キバリオンでは、万物は振動しているとされる。
これは後に、波動や周波数といった言葉で語られるようになる考え方の原点でもある。
ただし、ここにも大きな誤解がある。
多くの人は、
「振動を高く保たなければならない」
と考えてしまう。
しかしキバリオン的には、
高い振動を目指す必要はない。
なぜなら、
否定や抵抗そのものが、強い振動を生むからだ。
不安を感じている自分を否定する。
落ち込んでいる状態を排除しようとする。
この行為自体が、そこに強く意識を集中させてしまう。
潜在意識が反応するのは、
「どんな言葉を使っているか」ではなく、
「どこに力が入っているか」だ。
力が入っているところが、
その人の基準点になる。
逆に言えば、
力が抜けたところから、前提は自然にずれていく。
これは、努力ではなく解除に近い。
キバリオンは、人生をうまくコントロールするための教えではない。
むしろ、
コントロールしようとする癖に気づくための思想だ。
潜在意識も本来は同じ役割を持っている。
何かを必死に書き換える対象ではなく、
すでに働いている前提を観察するための概念だ。
ここで、引き寄せや潜在意識がうまくいき始める人の共通点が見えてくる。
それは、
「整えなくていい」
という感覚に入ったときだ。
整えなくていいというのは、
投げやりになることではない。
何もしないことでもない。
ただ、
「今の状態を材料にしていい」
と自分に許可を出すことだ。
この許可が出た瞬間、
潜在意識は緊張を解く。
すると、
今まで止まっていた行動が自然に出てくる。
無理に頑張らなくても、
動けるところだけが動き始める。
断捨離が気持ちよく進むのも、
この状態に入ったときだ。
物を捨てる行為そのものに魔法があるわけではない。
「もう要らない」と判断できる自分に、
無意識が安心する。
これは、
「足りない前提」から
「足りている前提」への小さな移動だ。
キバリオンの照応の原理から見れば、
この前提の変化は、そのまま外側に映る。
仕事、収入、人間関係、流れ。
すべてが、少しずつ軽い方向に調整されていく。
ここで大切なのは、
それを「引き寄せた」と解釈しなくていいという点だ。
キバリオン的には、
ただ原理がそのまま働いただけ。
潜在意識的にも、
ただ前提が更新されただけ。
そこに努力や根性は必要ない。
もし今、引き寄せや潜在意識に疲れているなら、
それは失敗ではない。
むしろ、
操作の段階を終えて、原理に戻るタイミングだ。
方法を探すフェーズから、
構造を理解するフェーズへ。
変えようとする段階から、
気づく段階へ。
キバリオンと潜在意識が交わる場所には、
そのヒントがはっきりと置かれている。
整えなくていい。
無理に信じなくていい。
高く保とうとしなくていい。
ただ、
今どんな前提で立っているかを見る。
それだけで、
現実はもう動き始めている。

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